アダルトサンスポ・フジ
投稿・私の性告白

先生と私(1)

イケメンがオーラない中年男に…

先生と私(1)
イラスト・幸杏奈

 日曜日の午後のショッピングモール。彼氏と別れたばかりの32歳の私は、冬物のコートを探して買い物を楽しんでいた。
 「…あれ?」
 エスカレーターから上の階を見あげると、携帯電話をいじりながら、椅子に座っている中年男性がいる。
 伸びたTシャツ、膝丈のズボン、サンダル、ぽっこりと出たお腹、そして少し伸びた髪…。
 目を疑うという言葉は、こんなときのためにあるのだろうと思った。
 「弘樹先生…?」
 私が高校2年のときに通っていた、学習塾の先生と似ている。
 ただ、私の知っている弘樹先生はイケメンで、女の子のファンが多く、細くてすらっとしていた。
 15年も前の記憶だが、友達の真衣が弘樹先生を大好きで、いつも観察に付き合わされていたので、間違いではないと思う。
 しばらくじっと見ていたら、弘樹先生が前髪を掻き上げた。それは15年前と同じ仕草だった。
 「やっぱり…」
 私は確信した。
 あの、人気ナンバーワンだった弘樹先生が、いつしかオーラのない中年男性へ変貌している。
 私は少し離れた椅子に座って、携帯を取りだした。
 毎年多くの生徒が入れ変わる塾の先生が、15年も前の生徒に簡単に気付くことはないはずだ。
 高校時代の私は今よりも10キロは太っていて、おシャレをする気にもならず、性格も地味だった。
 ところが弘樹先生のおかげもあって、志望大学に合格し、そこから派手な大学デビューをしてしまった。
 卒業後、地元に帰ってきて、今は整形外科の受付で仕事をしている。
 私も、昔と大きく変わったひとりなのだ。
 「もしもし真衣、今ね弘樹先生が近くにいるんだよ」
 「え、ほんと? 変わってる?」
 「残念ながら、疲れ切ったおじさんになってる」
 「声かけたの?」
 「かけるわけないじゃん、私のことなんて覚えてないだろうし」
 「弘樹先生、いくつになったんだっけ」
 「よく考えたらそんなに離れてないよね」
 「私たちが高校生で弘樹先生が大卒だったから…」
 「じゃ、まだ30代なんじゃない?」
 「そうよ、どう?」
 「もっと老けて見える!」
 「やだな、大好きだった弘樹先生のままでいてほしいのになぁ」
 私は真衣との電話を切り、弘樹先生の様子を伺う。先生はまだ携帯を触っていたが、隣に小学生の男の子が座っていた。
 「先生の子供か…」
 こうなると奥さんも見たくなるのが、女性のいやな一面だろう。
  (つづく)

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