アダルトサンスポ・フジ
投稿・私の性告白

青春の悶々(4)

彼女の手の温もりが忘れられない

青春の悶々(4)

 《万博の年に夜行列車で大阪から上京。その列車の中で歌手志望の若い娘と席が隣り合わせたが、数年後、彼女は池袋のぼったくりバーでホステスを…》

 「歌手になる夢、あきらめたの?」
 ラーメンを食べながら、私は彼女に訊いた。
 「ううん」
 「だったら、新宿に知り合いのライブの店があるから紹介するよ」
 私は店の住所と電話番号を彼女に教え、1週間後の再会を約束した。
 1週間後、大晦日の夜に、彼女は新宿の店に現れた。
 彼女は店で、ハウスバンドのピアノとギターの伴奏で、2曲歌った。オーディションのようなものだった。
 ジャズのスタンダード、『ユービー・ソーナイス・トゥカムホーム・トゥ』と、ジャズ風に編曲した『リンゴ追分』を歌った。
 びっくりするほど上手かった。私は感動していた。マスターも、満足げな表情だった。
 彼女が帰ったあと、私たちは大いに盛り上がった。2カ月後には専属にするし、周りのキャバレーにも紹介すると、マスターも張り切っていた。
 しかし、その2カ月後が過ぎても彼女は現れず、私が彼女に会ったのは、あの大晦日が最後になった。
 1度だけ、池袋で彼女を見かけたことがあった。あのフィリピン人の男と、仲良く腕を組んで歩いていた。少し痩せたように見えた。
 私は時々、彼女が置いていったデモ・テープ『リンゴ追分』を聴きながら、オナニーすることがある。
 彼女の手の、あの温もりが忘れられない。少し荒れた手だった。時にぎごちなく、時に激しくしごいてくれる彼女のリズム感。そして、垂れ気味の胸、黒ずんだ大きな乳首…。
 それから4、5年経った頃、私はテレビニュースで彼女の消息を知った。池袋のボッタクリ店が摘発されて、フィリピン人の男と一緒に逮捕された。さらに、覚醒剤所持もわかって、合わせて懲役4年の実刑判決が出た。
 出所後はストリッパーになったらしい。しかし、すぐに姿を消し、その後の消息はわからない。酔って電車のホームから転落したという噂を、なじみのストリッパーから聞いたことがあるが、真偽のほどはわからない。
 池袋東口は再開発され、あのボッタクリ横町は中央公園として生まれ変わった。だが、私にとっては魅力のない街になった。何より、あのいかがわしさがなくなってしまった。夏になると、若い女の子が裸同然のファッションで歩いても安全な街。元気のないサラリーマンが、ただスマホで遊んでいるだけの街だ。
 池袋、私にとっては、青春の悶々、そして欲望の街…。 (おわり)

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